›2005年 5月 01日

[ 範疇 : 映画のある部屋 ]

死体と遊ぶな、ショーンたち

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 イギリスで、ゾンビ映画というとダニーボイル監督の「28日後」が思い出されるだろう。
 青春活劇にゾンビ要素を加味した奇妙な作品で、いたるところにジョージ・ロメロ「ゾンビ」へのオマージュがあふれていた佳作とでもいうべき作品だ。
 そして、また新たなゾンビ映画がイギリスで生まれた。
 それが「ショーン・オブ・ザ・デッド」である。

 基本的なストーリーは、ゾンビが大量発生した街で、どのようにサバイバルしていくか、というゾンビ映画の黄金律を踏襲した作品になっている。…つーか、それ以外のストーリーを思いつけといっても、なかなかに難しいとは思うが(笑)。

過去にはDJとして遊び倒したショーンも、いまや29歳。大学時代の同級生とシェアする家には、いつのまにか大麻の密売で小銭を稼ぐ幼なじみのエドが転がり込み、勤務先の電機小売店に行っては若い店員にバカにされる始末。そして、その冴えない生活は、恋人であるリズに愛想を尽かされたことで最高潮に達しようとしていた。
 失恋の痛手から、エドと行きつけのパブ「ウィンチェスタ」に出かけ、泥酔しては馬鹿騒ぎに時を忘れるショーン。
 ところが、その晩から世界は一転してしまった。
 ゾンビが街に溢れ出したのだ。
 自宅へ押し寄せるゾンビたちを愛蔵品のレコードやクリケットのバットなどで撃退したあと、ショーンとエドは、愛する家族や、そしてリズを救うべく、街へと飛び出していく。
 しかし、そこで待っていたのは想像を絶する地獄絵図であったのだ。
 最初、パロディ作品だと聞いていたので、そんなに期待はしてなかったのだ。まあ、志村けんのスイカ男みたいなもんかな、と(笑)。
 しかし、いざ観てみると、これまたビックリ。
 良質なゾンビ映画が丁寧に展開されていたのだ。
 ゾンビ映画というと最近ではリメイク版「ドーン・オブ・ザ・デッド」を思い出す人も多いだろう。
 確かにあの作品もロメロの原作への愛がつまっていた。だが、ゾンビが走ってしまった。そうすると、どうしても現代的なアクション・スリラー映画にしかなりえないのだ。
 「ショーン・オブ・ザ・デッド」ではゾンビは走らない。
 ゆえに数の恐怖というゾンビ映画の神髄が見事に描かれている。
 そして、いたるところに挿入されたロメロ作品へのオマージュ!!
 「死霊のえじき」バブくん(字幕では「パブ」になっていたような気もしないでもないが、正確にはBub the Zombieであって、Pubじゃない)の名前が出てくるし、某登場人物の殺され方が、まんまローズ大尉だったりするわけで、それだけでファンは熱狂してしまう悪い病気が始まってしまうわけだ(笑)。
 bub the zombieeee!!
 「28日後」では、ロメロ「ゾンビ」へのオマージュとして、無人のショッピングセンターで買い物し放題のシーンなどがあったが、この「ショーン・オブ・ザ・デッド」では、「死霊のえじき」に忠実なるオマージュが捧げられているというわけだ。
 猫も杓子も「ゾンビ」「ゾンビ」と第2作目ばかりを絶賛するが、そもそもゾンビファンとしては記念すべきモノクロームの悪夢第1作目「Night of the LivingDead」から、全世界が公開を心待ちにしている第4作目「Land of the Dead」まで、すべてが一貫性のある物語であり、大人のための残虐童話であり、ホラーファンにとっての聖書であるのだ。
 作品ごとに良いも悪いもない。
 だからこそ「死霊のえじき」という隠れた名作をネタにしてくれちゃったりしたら、いやもう、愉悦ここに極まれりな感じなわけですね、ええ。
 喩えるならば、キングクリムゾンを語る時に、中学生でも知っているような「21世紀の精神病者」ではなくて、よりによって悪評高き傑作ライブアルバム「Earthbound」について嬉々として語るようなものである。…要するにマニアしかわからないわけだ(笑)。
 
 …ちなみに今も「Earthbound」アルバムを流していたらザシキワラシ師匠に怒られました(;´Д`)騒々しいんですって。…これこそが音楽なのにぃ…。
 
 話をゾンビに戻すが、この「ショーン・オブ・ザ・デッド」、なんとアメリカ人にも大ウケで、アメコミやフィギュアまで製作されてしまうくらい、要するにショーンくんはアメリカ人のヒーローにもなってしまったというわけだ。
 ちなみにアメコミっていうのは、既存のホラー映画をネタにするのがお好きなようで、最近でも「死霊のはらわた vs 死霊のしたたり」というトンデモないコミックが発刊されたとか(;´Д`)…どうせならブルース・キャンベル兄貴を起用して、ちゃんと映画にしてあげてください…。

 DVDのコメンタリを観るかぎりでは、どうやら監督と脚本&主演の主要メンバー2人は、それこそ若い頃からロメロ映画の大ファンとして勉学そっちのけで熱中していたらしい。だからこそ主演のサイモン・ペグは第4作目「Land of the Dead」カメオ出演してしまったり、エンディングロールにもゴブリンの楽曲を使ってファンをメロメロにしてしまったりと、まあ、いわゆる同志!なわけだ。
 
 イギリスコメディが好きな人にはオススメできる作品らしい。
 しかし、それ以上に、ロメロゾンビファンは必見の映画である。
 
 観ろ。あるいは寂しく死んでいけ。
 Watch or Dieeeeeeeee!!!!!!!!!!!!!!!!!
 
【蛇足】
 ちなみにロメロ巨匠の第4作目「Land of the Dead」ですが、いよいよ予告編が公開されました。
 
■Land of the Dead 予告編
 
 全米公開日も今秋の予定だったところを、6月24日に変更して、夏休みに突入するガキどもの財布を本気で狙いはじめているとのこと。一説によれば、映画のラッシュを見た配給会社が、あまりの傑作ぶりに本気になったらしく、さらに金をかけて追加撮影なども行われたとのこと。
 ■公式サイト

 で、肝心の内容ですが、予告編を観るかぎりでは、ゾンビが銃器を利用することができるようになり、しかもゾンビ同士でコミュニケーションが可能になった模様。つまりゾンビvs人間の戦争が可能になったとのこと。
 もちろんロメロ以外の監督が、そんなことしたら「お前、ゾンビのことなんにもわかっちゃいない!」と罵倒するところだが、現代のゾンビを生み出した父、ロメロにやられてしまっては「おお、ゾンビもそこまで進化したんだ!」と素直に驚嘆したくなります(笑)。
 いや、たぶんゾンビを走らせたのもロメロだったら誰も文句を言わなかったはず。
 全世界のゾンビファンが純粋に心待ちにしている「Land of the Dead」ですが、なんと、5月11日から2日間、カンヌ国際映画祭のミッドナイト・ムーヴィー・セクションで、20分に渡る映像が上映されるとのこと。オイラ、本当に行きたい!!(;´Д`)悔しい!!

 ■ゾンビ手帖

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