›2004年 11月 03日

[ 範疇 : 倫理の小道 ]

When did women become woman?

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 サルトルの相棒、シモーヌ・ド・ボーヴォワール(Simone de Beauvoir)が1949年に書いた有名な言葉。「女は女に生まれるのではない。女になるのだ」
 英語で書くと以下のようになるそうです。
「one is not born a woman; one becomes one.」
 
 フェミニズム入門などで必ずといっていいほど見かける、この言葉。
 日本人はフランス思想が好きだからなぁ…っと思っていたら、まあ、先駆者もフランス人。マリー・オランプ・ドゥ・グージュ(Marie Olympe de Gouges)は、フランス革命で断頭台の露と消えた劇作家。
 フェミニズム闘争史は、やはり面白い。 

 もちろんフェミニズムが嫌いな人もいることだろう。
 まず最初に覚えておいてほしいのが、フェミニズムとは女性の権利を回復する運動であり、決して「女好き」というわけではないということ。
 自由民権運動はそれこそ被差別者だけの運動ではなく、問題意識を抱いてしまった全員が参加できるものであって、そこに垣根を作ることは、それこそ逆差別となるわけです。
 さらに、確かに女性の権利は年々、回復されてきてはいるが、まだまだ根強い差別が社会に残っているということ。たとえば結婚したら女性が姓を変えるのは当然と思っている人も多いでしょう。そして男性が姓を変えるのは、養子縁組をするくらいの錯覚を抱いてしまうのが現状の日本の女性の地位なのです。
 げに恐ろしきは日本の家制度!!
 【実験】→男性諸氏は、恋人あるいは好きな女性の姓を名乗ることを想像してみて下さい。
 
 なお、今回はフェミニズムについての細かい紹介は避けますので、興味を持った人は各自で調べてみて下さい。
 ちなみに、それこそフェミニズム関連の書籍は無数に出版されてますが、糞尿以下のものも多いので充分に注意して下さい。一般に女性著名人が書いたフェミニズム本やエッセイ集はダメなのが多い傾向にあるようです。

 さて、私が最近、よく言う言葉のひとつに以下のものがある。
 
 「女性は25歳から」
 
 これは別に25歳未満の女性がダメだとか、女じゃないと言っているわけではない。
 むしろ50歳くらいのオバさんより、18歳くらいの女性の方が魅力的なのは世の常だろう。
 生物的に言えば、肉体年齢は若い方が「良い」のだ
 それは、どんなに足掻いたとしても自明なことであり、逆らうことのできない自然の摂理なのである。
 …我々が動物であるかぎり。
 
 余談だが、女性はなんのためらいもなく年配の男性に惚れたりすることができるようである。
 ここらへんにも「男性を男性たらしめている構成要素」と「女性を女性たらしめている構成要素」の違いが見て取れるであろう。大変に興味深い現象である。
 が、今回のテーマはあくまでも「女性」であり、次回以降に話は譲ることにする。
 
 それでは、なぜ私は18歳くらいの小娘よりも、中途半端な25歳以上という年齢を選ぶのだろうか。
 それは25歳ぐらいになって、ようやく女性は女性であることを選択的に獲得するからなのである。
 
 まずは女性の一生を見ていこう。
 すべては、母親の胎内でX染色体を持つ精子とX染色体を持つ卵子が受精した瞬間に始まる。
 それが女性の歴史の起源であり、フェミニズムでは生物学的性(SEX)としての「女性」と説明される性が始まった瞬間だといえる。
 そして十月十日後に女性は産道を抜けて、外気に触れ、肺呼吸に切り替わった瞬間に大きく産声を上げる。愛娘の誕生である。
 父親は目を細め、どんな美人に育つだろうと期待に胸を躍らせ、女の子らしい名前を用意していることだろう。祖父母たちは赤いランドセルを購入する計画すらを既に抱いているようである。
 女の子ならば、かくあるべし。
 そのように社会的・文化的に定義された「女の子らしさ」を、フェミニズムでは文化的性(Gender)と呼んでいる。

 この生物学的性と文化的性の分裂については、性同一性障害についての記事に書いたことがある。文化的性の矛盾と欺瞞については、そちらも参照していただきたい。
 
 さて、周囲からの期待通りに、彼女は女性らしい振る舞いをするようになり、自らも「女性」と認識するようになる。そして「女性だから」という理由から、素敵な男性に憧れ、スカートを穿き、料理や手芸の腕前を期待されるようになる。そして「可愛いこと」や「胸の大きいこと」が価値を帯びることに気がつくときがやってくる。
 社会、もしくは異性から期待される性的役割こそが、服従すべき絶対条件になったのだ。
 思春期。
 彼女にとって社会の構造は「異性vs女性」という単純な二項対立になる。
 社会的に未熟な徒弟期間とされながら、文化的性における絶頂期を同時に迎えることになってしまう。
 そして、お決まりの恋愛トーク、恋愛トーク、恋愛トーク、恋愛トーク…。
 
 やがて20歳を迎える頃になり、その天下無敵の権勢にも陰りが見えはじめる。
 老化を実感しはじめると同時に、年下の女性たちが眩しく見えてしまうのだ。
 社会的にも、ようやく一人前の人間として区別をされはじめる年齢に達し、いままで追求してきた「女性の道」に専念できる余裕もなくなる。
 社会から半ば強制されていた文化的性の呪縛が、少しずつ緩みはじめたのだ。
 ようやく自分自身の足で立ち、自分自身で選択できるようになったのだ。
 もちろん文化的性としては、今後、どんどん降下線を下ることになる。
 そして、終いには生物学的性としても重要な生殖機能を失うことになる。
 だが、その時期になっても、死ぬまで文化的性は彼女を「女性」として、弱々しくも規定し続けるのだ。
 
 そして死ぬ
 Memento Mori
 
 以上で見てきたように20歳くらいから、女性は「女」から「人間」へと変貌を遂げる。
 だが、それは「女」になる前の子供の状態とは、まったく異なるものである。
 確かに「女」なのだ
 だが思春期の少女の頃よりも、より老練で危険な雰囲気を漂わせる異質な存在としての「女」なのだ。その美しさの背景には、文化的性から離脱しつつある悲しみが原因していると私は考えている。
 なにかを断念した顔は、かぎりなく高貴で美しい
 そして対話を重ねる上でも、そのような女性とは人間同士の関係を楽しむことができるだろう。
 あくまでも異性という枠組みの中でしか関係が持てないのならば、最終地点はセックスだけしかない。それは動物的であり、貧困な発想であり、あまりにもつまらない関係性だと私は思う。せいぜい到達できて動物的な愉悦程度である。人間同士が交流したときの爆発的な感動には遠く及ばないだろう。
 
 25歳あたりから獲得する第3の性を「自覚的性consciousness gender」と呼ぶならば、ボーヴォワールの言葉をもじってみると、以下のようになる。
 
「女(sex)に生まれ、女(gender)にさせられ、女(consciousness gender)になるのだ」
 
 女性の女性らしさはビタミンCよりも失われやすいものである。
 だからこそ大切にしていきたいものである。
 なお、「自覚的性」が失われた状態が「おばちゃん」と称される状態である。
 
 貴方はを自覚的に生きていますか?
 そしてを自覚していますか?
 Memento Mori!!
 死は貴方のすぐ隣にいるのだから。

Comments

 「自覚的性」という性概念が曖昧だと批判されそうなので、前もって弁護しておきます(笑)。
  
 「文化的性」だって曖昧じゃんか(´ー`)y-~~
 
 くわしくいうと「自覚的性」は確かに「文化的性」のある特殊な現れのひとつです。結局は「文化的性」に包括された性概念でしかありません。
 ですが、現象として女性がどのようにその概念を受け止めるか、という態度が違ってくるわけで、そういう意味では性概念というよりも「態度」と言った方が正確かもしれませんね。
 
 なお、25歳というのはあくまでも目安で、もちろん13歳くらいから自覚する女性もいるでしょうし、30歳を過ぎても自覚できない女性もいらっしゃることでしょう。
 あくまでも現代日本の社会において獲得されやすい年齢が、私の観察だと25歳だったというだけです。そこに疑問を抱くくらいならば適当に年齢は変更していただいても構いません。
 
 さらに言うならば、この性概念は価値を帯びるものではなく、「自覚的性」を得ていないからダメだ、ということにはなりませんので悪しからず(´ー`)y-~~
 そんなの自分の自由じゃん。
 誰かにダメとか言われても気にするなよ。ベイビー。

Posted by: 管理人 [URL] at 2004年11月03日 16:10

 職場で話していて、ツッコミがあったので、この場を借りて返答しておきます。
 ずばり「男は何歳から?」という質問。
 
 つまりは男性の自覚的性は何歳から得られるのかという問題なわけで。
 本文中にも書いたが、男性の場合「男性を男性たらしめている構成要素」が年齢によって容易に左右される性質のものではないようなので、あまり年齢は関係ない、というのがブッチャけた感想だったりします。
 そりゃ確かに筋力なんかは年齢とともに如実に衰えます。
 でもジェンダーはさておき、女性が男性に何を期待しているか、という面から見れば、あまり老化は些細な問題ではないようです。むしろ多少ばかりは老化した方が良いかもしれないってくらいで(笑)。
 そういう男性を観察する視点も、逆にいえば「女性」というジェンダーを解明すればある程度はわかってきそうだけど。同世代よりも年寄りを選びがちな傾向とかね。
 まあ、いいや(´ー`)y-~~ 各自の研究に任せます。

Posted by: 管理人 [URL] at 2004年11月04日 04:23
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